イタリア製!?椅子修理(その2)本体編

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修理ご依頼の椅子本体へ取り掛かりました。

今回も大変勉強になりました。

背と後ろ脚が一体となった3本脚の椅子です。

イタリア製!?椅子修理(その2)本体編前脚同士を幕板でつなげ、幕板から2本の座貫が後ろに伸び、背脚と接合された3本脚の構造です。

前脚と幕板は『ホゾ組』されていて、後ろに伸びた座貫は、背に取り付けるための板材で『ダボ組』されていました。
それらは4本のボルトで背脚と接合されていました。

がたつきの原因の一つは 『ホゾ』『ダボ』の緩みや抜けでした。

ホゾ・ダボの抜けはじわりじわりと力を加え、ホゾ・ダボを外し、接着剤をクリーニングして再度接合し組み立て直しました。

しかし、それだけではない致命的なものもありました。

題名の『イタリア製!?」と疑ったのはそのためです。

前脚部分を取り外すと背脚との接合面にひび割れが生じているものがありました。
ひどいものになると割れているものも。
ボルトを抜き取ると完全にわかれてしまったものも。

そこで驚いたのは・・・

ダボというものは本来木材の中に納まっていて、表面には出ていないものなのに、上の画像のダボは上半分が黒く塗装がかかっているところです。
そのうえ、割れの断面手前から5mm程度も黒の塗装がかかっています。
(15mm程度はうっすらと黒く染まっています。)

また、ダボ穴とボルトの穴が貫通していているようにも見えます。

あくまでも推測ですが、すでにひび割れている状態で塗装をして、ボルトの締めつけに耐えられず、ひび割れ部分致命傷を与えたのではないか・・・と。

この部材はダボ組ではなくホゾ組みが良いのではとも思いました。

勉強になります。

椅子職人の知人にこのことを話すと
『イタリア製もピンからキリまであるからね。』とあっさりとした返答が。

今回は試行錯誤しながらまた、接合方法の適用を考えさせてもらいました。

ちょっと時間はかかってしまいましたが、無事修理を終え、納めさせていただきました。

この経験を生かして『質実貢献』できるように努めていきたいと改めて思いました。

ありがとうございました。

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